園長

【2025年6月】シジュウカラが残してくれたもの

園庭のトチの木にかけた巣箱の中で4月の初めからシジュウカラの巣作りが始まり、18日には最初の産卵が確認されました。
そこからだいたい1日1個ずつ卵の数が増え、合計9個の卵が産まれました。
巣箱の中に予め仕掛けておいたカメラで、親鳥が朝も夜もじっと卵を温め続ける姿を観察することができ、嘴の先で卵の位置を上手に動かして調整する母鳥の姿や、そんな母鳥のためにエサを運んで来る父鳥の姿を子供達も先生達もみんなで見守りながら「早く雛が生まれるといいね!」と楽しみにしていました。
ところが、事件は5月9日の朝に起きました。巣箱の中にヘビが入り込んでいて、朝、先生方が気付いた時には卵は既に一つも無くなってしまっていたのです。
録画を確認すると前の日の夜9時頃、まだ子供のアオダイショウが舌をチョロチョロと伸ばして匂いを確認しながら(ヘビは舌の先で匂いを感じることができるのだそうです)自分の体より大きな卵を次々と丸飲みにしていく様子が記録されていました。
(この時期、ヘビが鳥の卵を狙うことがあるのはわかっていたので、ヘビが滑って登れないように木の幹につるつるしたプラスチック製のヘビ除けの仕掛けを取り付けて対策はしていたのですが、どうやら垂れ下がっていた枝に2階のひさしから直接ジャンプしたようです。ヘビと人間の知恵較べ、今回は人間の負けでした。)
さて、この事件を子供達にどう伝えたものか悩んだ末・・・やはりありのまま伝えることにしました。
自然を学ぶということは、生命と死をも学ぶことです。
本物の自然は、カワイイとか可哀そうとか言うだけでない厳しい顔も持っているのですね。
先生方は、それぞれの言葉でクラスの子供達にこのシジュウカラとヘビのドラマを伝えてくれました。
子供達はどんなことを感じたでしょう。「シジュウカラがかわいそう」と悲しんだ子も「ヘビさんはひどい!」と怒った子も「ヘビさんだってお腹がへってたんだよ」とヘビの側に立った子もいたことでしょう。どの想いも大切に共有したいものです。
シジュウカラの孵化を見届けられなかったのはまことに残念でしたが、シジュウカラもヘビも子供達と私達にたくさんの気付きや学びを残してくれました。

★YouTubeでシジュウカラの観察記録を公開中です。ぜひご覧ください。

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