【2024年8・9月】空中ブランコ乗りのキキ
休みの日には古い友人や昔の教え子と直接会って話をし、長い休みにはそこで話題になったコンサートや映画、演劇の舞台などになるべく足を運ぶように心がけています。
この夏は、暑さや台風に心挫かれ思ったようには動けませんでした。
そんな中で心に残ったのが、人気の児童文学作品をベースに子どもも大人も楽しめるように構成された音楽劇「空中ブランコ乗りのキキ」(別役実原作:東京・世田谷パブリックシアター)でした。
ライバルの登場に怯え、観客の期待に応えるがために、不思議なおばあさんにもらった青い水を飲んで、まだ誰も成功したことのない4回転に挑んで白い鳥となって空に消えた「空中ブランコ乗りのキキ」の物語。
中学校の教科書にも掲載されていた作品なので覚えておられる方もいらっしゃるかもしません。
誰かに自分を認めてほしい。そのためについつい無理をし、いつの間にか自分を追い込んでいってしまう。
その一方で、誰かのためではなく自分のために「自分らしく」生きたいと願う。私達は「目標」をどう定め、それとどう向き合っていけばよいのか。
日々の生活の中で忘れかけていたそんな問いを、子ども達もたくさんいる劇場という異空間の中で、一緒に拍手をしたり、笑ったり、はらはらしたり、しんみりしたりしながら考えることのできた時間でした。
なんでも居ながらにして掌の中で見ることができる時代。
既に言い古されたことではありますが、生で直接見ること、そして一緒に見た人と感動や感想意見を交換することの大切さを改めて感じました。