【2024年7月】時空を超える手紙
先日ある観察会で、お子さん連れで参加されていたお母様に声をかけられました。
25年ほど前に勤めていた小学校の教え子だった子で、その日私が参加することを知って来てくれたのですが、見せたいと持って来た物があるといいます。
それはなんと1枚の葉書。当時校内で牛乳キャップのお金で専用の葉書を買ってそれを校内のポストに出すと子供達が相手に配達をしてくれるという「子供郵便局」という取り組みがありました。
その時その子がくれた葉書に私が書いた返事の葉書。
それをその子はずーっと持っていたのだそうです。
懐かしい教え子との再会と同時に、思いがけない1枚の葉書との再会。見れば「あぁ確かにこれは自分が書いた」という覚えがありました。
なんとも不思議な、そして嬉しい気持ちになりました。
1枚の葉書がまるでタイムマシンのごとく、その間に「小学生」から「小学生の母」になったその子との25年という時空を一瞬で飛び越えさせてくれ、そこからお互いに会話が弾みました。
メールやラインだって保存はできますが、たとえ保存したところでなかなかこういう展開にはならないだろうなと思い、改めて紙に自分の字で書いてやりとりする手紙の良さを感じた出来事でした。
折しも郵便料金の値上げが話題になっています。子供達が大きくなる頃までには、ポストに郵便を出すという経験はますます減っていくことでしょう。
ただ、本物の郵便でなくてもよい。何かちょっとした折には、カードや便箋に伝えたい思いや言葉を文字に書いて相手に届ける、その「手紙」という行為だけは心して続けていきたいものだなと思います。