園長

【2024年6月】戦争をやめた人たち

先日行った小さなコンサートの中である絵本の朗読劇を聞きました。
敵同士であるはずの兵士達がふとしたことをきっかけに一緒に一つの歌を歌い、家族の写真を見せ合い、果ては上着を丸めて紐で縛って作ったボールでサッカーを楽しんだという一夜のできごとを易しい言葉と、色鉛筆で描かれた柔らかなタッチの絵で伝える「戦争をやめた人たち」(鈴木まもる 文・絵:あすなろ書房)。
第一次世界大戦中、戦場であった本当のお話です。作者の鈴木まもるさんは、鳥の巣の研究家でもあり生き物の本をたくさん書いている方ですが、「これまでの作品では鳥や動物等の『命』を多く扱ってきたが、いつかは対極の『戦争』を描こう」と決めていたといいます。
帰って改めて絵本のページを開いて読み直していくと、物語の最後のページには青い地球を囲んで手を繋ぐ色とりどりの民族衣装を着た人々。
その周りには様々な鳥や生き物、虫、草花が描かれています。
そこに書かれている言葉は「この星に、戦争はいりません。」
現実の世界には複雑な利害関係や歴史があり、戦争は今現在も歴然と存在しています。
でも「戦争を始めるのも人ですが、戦争をやめることができるのも人です。」(作者あとがきより)
日々子供達と過ごす中で、一緒に遊んだり歌ったり、スポーツをしたり、生き物を慈しんだりする体験をうんとたくさん積み、誰かと喜びや悲しみを共有する、相手の気持ちを想像する、そんな力をしっかりと育てていく。いま、その大切さが私達に改めて問われているように思うのです。

新着記事

過去の記事

MENU