【2024年12月】秋はどこに?
気がつくとお地蔵様の前に園児達が摘んだオシロイバナの赤と白の花が数輪、お供えされています。
オシロイバナは秋が深まっても霜が降りるギリギリまで花を咲かせます。
いま子供達の周りは花壇やプランターに植えられて「管理」された花ばかりになり、花は「摘んではいけないもの」「摘んだら叱られるもの」になってしまっています。
当園でもなかなか子供達が自由に草花遊びをできる状況はないのですが、オシロイバナについては「摘んで遊んでいいよ」と伝えています。
人は花の前で思わず立ち止まり、その色や形を眺めたり、香りを楽しんだり、時には摘んで髪にさしてみたり、家に持ち帰り部屋に生けて楽しんだり、愛する人にプレゼントしたりするものです。
数万年前のネアンデルタール人の墓からは人骨と一緒に花の花粉の化石がまとまって発見され、その頃から既に花を手向け(たむけ)るという行為は生まれていたのだろうと言われています。
まだ文字も宗教も生まれる前のことです。美しい野の花を摘んで、大切に想うものに捧げる。
それは人間にとって最も根源的なそして自然な行為なのでしょう。
人はその行為を通して人を、命を大切に想う「心」を可視化し、共有した。
そしてそのことがヒトを人にしていったのではないかと思うのです。
園児達が毎朝歌うお礼拝の歌の歌詞には「のの様にあげましょ綺麗なお花」とあります。
歌うだけでなくそれが自然に体験できる。そんな環境をこれからも大切にしていきたいと思います。