園長

【2024年10月】ここにあり続けるということ

9月のある放課後、二人の若い男性が園を訪ねてきました。
聞けば二人とも十数年前の当園の卒園生だと言います。
今もよく連絡を取り合う間柄で、二人で話しているうちに懐かしい園の中をどうしてももう一度見たくなったのだそうです。
昨今はセキュリティ上、卒園生と言えどもなかなか気軽には受け入れにくい状況もありますが、調べると確かに卒園アルバムや台帳にも記載がある方々でした。
なので今回は「どうぞ。ゆっくり見ていってください。」ということになりました。
よく聞けば当時まだ新卒すぐだった担任が、なんと今も園内にいることもわかりました。
案内しながら一緒に園内を回りましたが「あ〜ここはあの頃のままだ!」「このブロックでよく遊んだんだよ」「ここが自分の教室でした。席も覚えています」「あぁ、誕生会でステージに上がる前にここで待っている時ドキドキしたんだよなぁ」
側で見ている私までもが嬉しくなるくらい二人の気持ちが園児に戻っていっているのが伝わってきました。
感心したのはその後です。「先生達はどんなことを考えてどんな苦労をされているのか大人になった今だから対等な目線で話をしたい」というのです。
そこで教室にいた二人の先生としばらく話をしていただきました。
夕暮れ時までを園で過ごし、満足そうに帰っていった二人を見送りながら幼稚園というものの意味を考えました。
何かの折にふと思い出す自身の幼少期。夢中で遊んだおもちゃや大好きだった絵本、風景、周囲にいて支えてくれた人々。
「帰る世界」があるというのは誰にとっても幸せなことだなと。
ずっとここにあり続ける。園としてその大切さを改めて深く考えさせてくれた出来事でした。

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