言葉の教育について
「言葉の教育は子どもへの最大の贈り物」
妙厳寺幼稚園では、石井式漢字教育をベースとした漢字教育(日本語教育)を実施し、楽しみながら言葉と触れあう活動を行っています。
この教育は、漢字を覚えることを目的とはしていません。
漢字はひらがなと比べて形が複雑で特徴が多く、文字自体が意味を持つ表意文字です。そのため漢字は識別しやすい文字と言われています。
人間の知能は言葉によって作られます。漢字を見ることで、字形や読みの違いに自ら気づき、それを分析することで、知能や思考力の向上を目的としています。
言葉が豊かになると、物の見方も心も豊かになります。
幼児期に培われた国語力は、思考力・読解力・表現力に繋がり、全ての学問の土台となります。
当園では、楽しく漢字に親しむことを通じて子どもたちの能力を最大限に引き出せるよう取り組んでいます。
<漢字かな交じり絵本>
『一寸法師』や『ブレーメンの音楽隊』など、日本昔話や世界の名作を音読します。
絵本は1~2か月ごとに変わり、年間で約7冊とじっくり親しみます。
音読している部分を指差しながら声を合わせて読んでいきます。
初めはどこを読んでいるか分からなくても、日々先生とお友達と音読していく中で、次第に文章が分かるようになっていきます。
<素話>
子どもたちに絵本を配らず、先生も絵本は子どもたちに見せずに、漢字絵本の内容を口頭で話します。
漢字絵本のキーワードが漢字カードになっており、その言葉が出てきたタイミングで黒板に漢字カードを貼って、読み進めていきます。
先生の言葉だけで物語を理解し、その情景を思い浮かべることで想像力を高めます。漢字カードを見せることで言葉の定着も促します。
<漢字カード>
その時に読んでいる漢字かな交じりの絵本の中からピックアップした漢字のカードを見せて、先生の後に続いて子どもたちも音読します。
繰り返し行うことで、言葉を目で覚えていきます。
<漢詩朗読>
毎日月ごとの漢詩を朗読します。リズムがある漢詩は覚えやすく、普段から口ずさむ園児もたくさんいます。
『絶句』『春暁』『偶成』『江雪』など、美しい古典たちに触れます。
初めての漢詩を読むときは、お友達の名前に入っている漢字を見つけるゲームも盛り上がります。
<漢字と親しめる環境づくり>
園児の名札や歌詞、掲示物、配布物も漢字表記をしています。
漢字・ひらがな・カタカナが混在する日本語本来の表記で日常生活を送ることで、よりスムーズに言葉を理解できるようになります。
<歌留多会>
毎年1月にかるた取り大会を行います。
2歳児クラス(羊組)は童謡かるた、年少組はことわざかるた、年中組は俳句かるた、年長組は百人一首に挑戦します。
保育中に練習するだけでなく、冬休みを活用してご自宅でも楽しんでいただいています。
練習を重ねるうちに、どんどん素早くかるたを取れるようになる子どもたち。白熱した戦いが繰り広げられます。
自由遊びの時間には、先生役になって読み札を読む子と、札を取る子に分かれて、子どもたちだけでかるたを楽しむ光景も見られます。
<漢字作りゲーム>
偏(へん)と旁(つくり)を組み合わせて漢字を作るゲームです!
漢字が出来上がったら、何を作ったかそれぞれ発表します。
木へんだから「桃」や「桜」が作れそう…!
魚へんだから「鮪」や「鯉」が作れそう…!
保育参観を利用し、親子対決を行う時もあります。表意文字である漢字の特色を、楽しく実感できる活動です。
<本との関わり>
幼稚園生活の中で繰り返し言葉に触れて、子どもたちの語彙はどんどん増えていきます。
漢字に対する抵抗感がないため、漢字かな交じりの本も気軽に手に取り、主体的な学習意欲が高まります。
園内には8カ所に本棚があり、5000冊を超える蔵書があります。それらを子どもたちは自由に読むことができます。
毎週金曜日は園内を探検して気になる本を1冊選び、おうちに持ち帰ります。休日に保護者の方と楽しみ、月曜日に返却します。
年度末には、お世話になった本たちを皆で丁寧に拭いて綺麗にします。
そして卒園する時には在園中に借りた本の一覧を冊子にしてお渡ししています。
「言葉の力」と「本が好きな気持ち」は一生ものの宝物です。幼稚園の活動を通して、その心が育まれることを願っています。
地域の小さなお子様向けにミニ図書館も開設しています。ぜひお気軽にご活用ください。