園長

【2024年3月】「ミニタンポポ」見つけた!

「タンポポ見つけた!」息せききって教えに来てくれた子供に連れられて行くと、園庭の片隅に白い綿毛を広げた小さな草がありました。
小さな黄色い花もついています。これはノボロギクという植物でタンポポではありません。
でもこういう時に正しい名前を教える必要はありません。
黄色い花と白い綿毛、早春の園庭でまっさきに咲いた春の花。まさしく「タンポポ」と言っていいでしょう。
「超ミニのタンポポだねぇ」「うんミニタンポポ!ミニタンポポ見つけた!」

人はものごとを「言葉で認識する」といわれます。
小さな雑草も「ミニタンポポ」と名前が付いた瞬間からはっきりと認識されるようになり、それを誰かと共有することができるようになります。
「明日もミニタンポポ見に行こうね。」と。
新しい生き物や植物に出会った時「目の周りが白いあの黄緑色の鳥はメジロっていうんだよ。」と名前を教えることもありますが「一緒に名前を付けてみようよ。」と働きかけると、子供たちはそのものの特徴をじっくりと観察して面白いオリジナルの名前を付けてくれます。その方がずっと強く印象に残るようです。

いらいらした様子を見て「どうした?」と聞くと「むかつく!」としか答えない子供にこれまでたくさん出会ってきました。
「よく寝てないから眠い」「ごはんを食べてないからお腹が空いている」「家の人に叱られてしまったから悲しい」「持ってくるつもりだったものを忘れて来てしまった。どうしよう。」「友達に声をかけたのに無視されてしまったので嫌な気持ち」…いらいらの中身はその時々で違うはず。
それを安易な「むかつく」のような一言で済ませてしまわず、きちんと分析して言葉にすることができる子供に育てたいと思います。
生き物でも気持ちでも、対象をよく見つめ的確な名前(言葉)を与えること、そしてそれをまわりの人と「今度からこれはこういう風に呼ぼうね」と共有していくことが、豊かな言葉を育てます。
豊かな言葉は豊かな認識力となり、豊かな認識力は豊かな心を育てるのではないでしょうか。

<写真>園庭に咲いたノボロギク

新着記事

過去の記事

MENU